PLCの電灯線アンテナ実験で使用する主要部品がLCLプローブです。回路図はこの論文の図7に載っているのですが、4つあるトランス(T1~T4)の巻き方には触れられていません。T2、T4はいわゆるコモンモード(CM)フィルタで、CM電流阻止/DM電流通過の役目をします(DM=ディファレンシャルモード)。一方T1、T3はCM通過/DM阻止という働きでCMフィルタとは逆です。我々アマチュア無線家にとってCMフィルタはお馴染みなので巻き方は分かったのですが、DMフィルタの方の巻き方が私にはよく分からなかったので、いろいろ資料を調べたり自分の頭で考えたりしながら答えを見つけることができました。
まずはお馴染みのCMフィルタ(T2,T4)です。
キャンセル巻きとバイファイラ巻きがあって、行きと帰りの電流がフェライトコア内に作る磁場が強め合ったり弱め合ったり・・・云々という話はWebや本でもよく見かけるので皆さんもご存知だと思います。
次にDMフィルタ(T1,T3)について考えてみます。ポイントはCM電流をロスなく通過させる必要があることです。
まず左上の「逆キャンセル巻き」という絵を見て下さい。基本はCMフィルタのキャンセル巻きで、片方の線(図中で青)の巻き方がキャンセル巻きとは逆になっています。これだけでCMフィルタの働きが逆になり、CM通過/DM阻止というDMフィルタが出来上がります。さらにアウトプット側(右側)で赤青の線をショートさせてタップを取り出すと、少しだけすっきりした巻き方になります。単線を同じ方向にコアの周りをぐるっと一周巻いて、中点タップを取り出せば良いことになります。
コアの材質と巻き線についてはこちらの記事によると、「アミドンのフェライトビーズFB-801-43に0.2~0.25mmのエナメル線を2本しっかり撚って、バイファイラ巻き6ターンする」と書かれています。DMフィルタの方は単線なのでバイファイラにする必要はないでしょう。
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